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文法の話

 タイ語は文法が簡単だということをよく聞きます。

 タイ語には文法がない,などと極端なことを言う人もいるようです。

 そもそも「文法」とは何なのか。文法という言葉が大昔から日本語の中にあったとは思えません。たぶん,明治時代に外国語を翻訳してできた言葉でしょう。英語でいえば,grammar。

 ものの本によれば,この言葉はラテン語から来ているようです。
 ラテン語は,ヨーロッパで日本の漢文のような役割を果たしていました。日常的にしゃべっている言葉は英語やフランス語,ドイツ語などですが,文章を書くときはラテン語を使った。なぜなら,大昔のヨーロッパで書くことのできる言語はラテン語しかなかったからです。

 ヨーロッパで初めて「話し言葉」が文字化されたのは,14世紀のイタリア。ダンテの「神曲」からです。ラテン語は当時,grammaticaと呼ばれていたそうです。英語のgrammarの語源ですね。grammaとは「文字」を意味し,ticaは「技術」を表す。すなわちラテン語とは「文字の技術」の意味だったわけです。これは文字をもった言語が,当時ラテン語だけであった事情を示しています。

 今日,私たちはこの言葉を「文法」という意味で使っていますが,文字だけではなく「文法」というものもラテン語にしかなかった,と思われていたのです。

 私も大学時代,ラテン語の授業をとって,3カ月ももたずに挫折しましたが,とにかく活用が複雑。動詞の活用だけでなく,「格変化」も複雑です。ラテン語文法の学習とは,活用の暗記だと言ってもいいくらいです。

 ここで,「文法」という漢字を見てみましょう。

 文の方法,つまり文を作るための方法という解釈もできるかもしれません。単語だけ知っていても文にはならない。単語を文にするには,正しい形に変え(活用),正しい順番に並べる(語順)ことが必要です。すなわち,文法とは「活用(語形変化)」と「語順」のことであると言えそうです。

 ところで,タイ語は中国語などと同様に「活用」がない。動詞の活用もなければ,格変化もない。文法の二つの要素のうち,一つがないわけです。

 つまり,タイ語文法は「語順」につきると言えそうです。

 これが,「タイ語の文法は簡単だ」,「タイ語には文法がない」などと言われる理由だと思います。

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