外国語

連合と連辞

言語は体系をなしています。

音韻体系で言えば,タイ語の
という音が日本語の「ア」と似ているとしても,その「価値」は違う。


「ア」はそれ以外の4母音(イウエオ)と対立しているのに対し,

タイ語の
は,タイ語のそれ以外の8母音,そして短母音-とも対立している。

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七五三

 千野栄一の「外国語上達法」に,次のような趣旨のことが書いてあります。

 一つの言語を構成する語彙は膨大である。そのすべてを覚えるのは不可能であり,またその必要もない。米国人が,英語の大きな辞書に載っている言葉をすべて知っているかといえば,そうではない。まして,外国人がそれを目指すのはばかげている。

 一般的に,小説を楽しんで読むことができ,外国人と自由に会話ができ,手紙や論文が書けるようになるには,最低4000~5000語が必要である。辞書を引きながらテキストを読むという程度であれば,2000~3000語で足りる。

 大部分の言語で,あらゆるテキストの90%は3000語以内で書かれているそうだ。つまり,3000語を覚えれば,テキストの90%が理解できることになる。これは,言語によって多少の差があり,フランス語はそれより少ない語数で90%を超え,日本語や韓国語など,語彙数の多い言語で90%を超えるためには,3000よりはるかに多くの語彙が必要になる。

 また,最初の1000語でテキストの60~70%が理解できるので,外国語学習は1000語を当面の目標とし,最終的には3000語を目指せばいい。それで90%がカバーできるなら,残りの10%は辞書を引けばよいからだ。

 そして,最初の1000語の壁が超えられないとき,その言語の習得は挫折する。充分な語彙がないときにテキスト読解に挑戦し,絶えず辞書を引かなければならない勉強がいかに悲惨なものかは,多くの人が体験している。


 また,語彙の学習にメリハリをつけるため,きりのいい数字を目標とし,それを達成するごとに「お祝い」をするといい,と。

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文法の話

 タイ語は文法が簡単だということをよく聞きます。

 タイ語には文法がない,などと極端なことを言う人もいるようです。

 そもそも「文法」とは何なのか。文法という言葉が大昔から日本語の中にあったとは思えません。たぶん,明治時代に外国語を翻訳してできた言葉でしょう。英語でいえば,grammar。

 ものの本によれば,この言葉はラテン語から来ているようです。
 ラテン語は,ヨーロッパで日本の漢文のような役割を果たしていました。日常的にしゃべっている言葉は英語やフランス語,ドイツ語などですが,文章を書くときはラテン語を使った。なぜなら,大昔のヨーロッパで書くことのできる言語はラテン語しかなかったからです。

 ヨーロッパで初めて「話し言葉」が文字化されたのは,14世紀のイタリア。ダンテの「神曲」からです。ラテン語は当時,grammaticaと呼ばれていたそうです。英語のgrammarの語源ですね。grammaとは「文字」を意味し,ticaは「技術」を表す。すなわちラテン語とは「文字の技術」の意味だったわけです。これは文字をもった言語が,当時ラテン語だけであった事情を示しています。

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例文の楽しみ

 このブログでも何回か言及した千野栄一『外国語上達法』に,よい学習書の条件があげられています。

 ① 課題をスモールステップで構成されていること。あまりにも次々と新しいことが出てきて,学習者が絶望しないようになっていること。

② 学習者が,自分の学習がどの地点まで来ているか,常に確認できるようにして,「ああ,ここまでわかった,一つ山を越えた」という達成感を得られる教材。

③ 語彙が精選され,新出単語には必ず訳がついていること。「語学は徹底的に辞書を引かなければならない」というのは,少なくとも初歩の段階では,誤った学習法である。最初は,とにかく与えられた意味を覚えることが重要である。

④ 文法は,重要なもの,易しいものから順に並んでいなければならない。往々にして,重要なものほど難しい場合があるが,そのときは易しいものを優先すること。また,例外的なことと基本的なことの区別が,はっきりとなされていること。

⑤ 単語にしろ,文法にしろ,大切な項目は早い時期にでてきて,その後,繰り返し出てくるようになっていること。覚えた単語や文法が二度と出てこないのでは,せっかく覚えた努力が報われない。単語は絶えず繰り返し登場させることで,定着を確実にし,また,学習者に再出の喜びを味わわせる。

⑥ 毎回,一定量の学習がしやすいように,各課の量が一定であること。

⑦ 例文は,断片的なものよりも,意味のまとまりのあるスキットで構成されているのがよい。そうなっていれば,テープを聞いて覚える場合に覚えやすい。また,文法を学習させるために無理矢理作った文よりも,実際にそのまま使える例文がよい。

⑧ イラストやデザインに工夫があるのもよいが,もっとも重要なのは,例文の面白さである。

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私のタイ語学習歴

 私は96年から2007年までの11年間,韓国に駐在していました。

 私が仕事で初めてタイを訪れたのは2002年。韓国からの出張でした。そのとき,バンコクの日本人向け書店で一冊の学習書を買いました。

 これが私のタイ語学習の始まりです。

 以来,学校に行く時間がないので基本的に本で独習しています。


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表音文字・表音節文字・表語文字

 再び「島」より引用します。

 その言語学者は文字の数から直ちにこの文字がアルファベットであることを読み取った。(文字の数というものはアルファベット,すなわち,一音一文字のシステムの場合が一番少なく,音節文字ではそれが増え,表語文字では飛躍的に増えるものである)。…かつて表語文字からアルファベットへと進んだ人類の言語が,この言語では,再びアルファベットから表語文字へと回復しようとする傾向があることに気がついた。

 この文章で,アルファベットは「一音一文字のシステム」と定義されています。

 表音文字の中でも,「音素文字」と言いかえることができるかもしれません。ヨーロッパの主要言語や,キリル文字をつかうロシア語がこれに属するでしょう。英語のアルファベットは26文字。

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島(解説編)

 著者千野栄一は,チェコ語を専門とする言語学者。数年前に亡くなられました。名エッセイストとしても有名で,言語学エッセイをたくさん書いています。「島」もその一つ。
 言語学者の書いたものであるため,専門知識がないと正確には理解できない。私も全部理解できたとはいえません。

 野暮を承知でちょっと解説をすると…。

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 一人の言語学者がとある島へふらりとやってきた。北海の風雨の荒れ狂う,どんよりとした島で,何日かたつとその言語学者は島の住人との接触に成功した。

 もちろんこの学者は島の住民の言語を調べ始めた。やがて調査が進むにつれてこの島の言語がかなり面白いものであることに気がつき,言語学者はこみあげてくる興奮を押さえることができなかった。とはいえ,その言語は見かけの上では目に立つような特徴があるわけではなく,母音の数は10ほど,子音の数も20から30の間と,どちらかといえばごく平均的な言語で,強いて珍しい音と言えば,舌尖あるいは舌端が上の前歯の裏に近づくか,軽く触れて巾の広い狭めを作り,左右の舌縁は奥歯などに密着して空気が横にもれないようにし,口むろのみを通して送られてくる呼気が舌尖付近を通るときに生ずる摩擦音があり,それが有声と無声の対立をなすペアーを持っていることぐらいであった。

 音の次に文法の調査にとりかかったが,ここでも特にとり上げるべきものはなかった。名詞には性がないのに数があり,動詞はある一つの動詞が八つの変化形を持つのがもっとも数が多く,基本的な動詞には変化形が五つしかなく,あるmodalな動詞にはたった一つの語形変化しかなかった。目につく特徴といえばこんなことぐらいであった。

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声調言語

 タイ語の音節数は数千に及ぶ。

 それだけではない。この膨大な音節の一つ一つに「声調」があるのです。

 私は,いわゆる「声調言語」を学ぶのが初めてなので,声調のなんたるかが,いま一つよくわからないのですが,どうも音節内における音の上がり下がりのことらしい。その点,日本語の上がり下がり,つまり「高低アクセント」とは違うもののようです。

 日本語の場合,は一文字目と二文字目の音の高さが違う(ただし東京と大阪では逆)。は単独では橋と同じですが,次に助詞の「が」が続くと,「端が」の「が」は高く,「橋が」の「が」は低くなる。

 ま,こういった「高低アクセント」があるわけです。

 ところが「声調」というのは,このような音節の相対的な高さの違いではなく,音節固有の抑揚を言うようです。


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英語と韓国語の音節数

 英語の音節の数はいくつか。

 これがよくわからない。

ある学者は8万以上といい,最低でも3万はあるらしい。要は,「数えきれないほど多い」のだそうです。

 日本語はたった112なのに,英語はなんでこんな途方もない数が出てくるのか。

 ここで,韓国語を見てみましょう。

 韓国語の子音の数は日本語より多く,18種類。日本語にはない,有気音(激音)や無気音(濃音)があるためです。

 そして,母音は半母音も含めて20種類。日本語の倍以上です。

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